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名ばかりの「危機管理」

日大アメフト問題で露見した日本の組織における稚拙な「危機管理」

 

概要

 危機に備えるリスク管理とちがい、危機管理はすでに起こってしまった事象の減災に取り組み、できるだけ早く危機発生前の状態に戻すことを目的としている。日本の組織は不確実性回避への志向が大変強く、きめ細やかなリスク管理を行っているところが多い。中央集権的な組織構造、そして集団凝集性を尊重する社会的側面もこの傾向を後押ししているといえるだろう。しかし危機管理となると、目を覆うばかりの対応が目立つ。
欠陥エアバッグにより多数の死者を出したタカタ。タカタ経営陣の稚拙なコーポレート・コミュニケーションが同社を倒産に追い込んだ、といっても過言ではない。何代にもわたって決算の粉飾を行ってきた東芝。東芝経営陣に客観性を伴った自浄作用が機能していれば、長期にわたって「不正の引継ぎ」が続くとは思えない。このような例は枚挙にいとまがない。
また、トップにおける危機管理の失態は営利企業だけにとどまらない。日本ボクシング連盟前会長の権力乱用や体操女子のパワハラ告発などからは、日本特有の権威主義の暗部も見える。危機管理では前向きな姿勢で迅速に行動し、謝罪し、責任をとり、「最悪を想定し、最善を期待する」ことが必須だ。しかしこれらの組織は反応・対応が無い・遅く、謝罪を拒み、無関与を装い、「最善を想定し、最善を期待」している。一体、この全く根拠のない楽観はどうやって生じるのだろうか?
この度、日大アメフト問題で露見した組織における稚拙な「危機管理」は、日本にありがちな上層部における「勘違い」(犯罪の中和・正当化)が大きく作用している。また、多くのサラリーマンの信条となってしまっている「出る杭は打たれる・長い物には巻かれろ」的なコンセプトから生み出される「空気」が「組織の沈黙」を生み出す温床となっている。これらを分析し、今後の日本企業・組織における危機管理のあるべき姿について考える。

 

第1回
2018年12月08日(土) 13:30 ~ 15:00


講師:竹下 誠二郎

講師紹介

氏名竹下 誠二郎  静岡県立大学経営情報学部教授
講師紹介ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院MBA課程修了、ロンドン大学バークベック校経営学博士課程修了。24年間、ロンドンの金融街にて勤務。英国BBC放送などをはじめとしたテレビ番組や寄稿、講演などにも積極的に活動。ドイツ銀行、ABN AMROオランダ銀行、みずほインターナショナル(英国)・ディレクター等を経て、2015年4月より現職。日本型経営システムにて欧米型ガバナンスとの融合が可能な領域をみつけ、日本企業のイノベーションへの取り組みを広げる研究を目指す。

開講情報

会場B-nest(ビネスト)静岡市産学交流センター 演習室1(住所:静岡市葵区御幸町3番地の21)
受講料1,960円
開講日等 2018年12月08日(土)13:30〜15:00
(計1時間30分)
申込締切2018年11月22日(木)
※この講座は終了しました。多数のお問合せ、お申込みありがとうございました。

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静岡県立大学経営情報学部大学院経営情報イノベーション研究科